木造住宅耐震改修(北九州市)

    旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に建築または着手)で建築された木造住宅の耐震改修工事を行いました。現在、古い木造中古住宅のリフォームを行う場合に、耐震補強やバリアフリー、省エネの性能向上について様々な支援制度が用意されています。今回は、その内の耐震補強工事について紹介します。

    先ず、大きな支援の一つに「北九州住宅・建築物耐震改修工事費等補助事業」があります。旧耐震基準の住宅で2階建以下、上部構造評点が1.0未満のものを1.0以上にする耐震改修工事を行うものについて、1戸につき上限100万円とし工事費等の4/5までの補助を受けられるという制度。(北九州市以外でも類似した制度を用意している市町村はあります)

    また、その補助と並行して、工事を完了することによって「住宅耐震改修証明書」や設計者等が発行する「耐震基準適合証明書」にて住宅ローン減税や諸税の特例・軽減措置の制度も全国を対象に利用できます。上表は、旧耐震基準中古住宅の耐震補強を行う流れを、①基本的な流れ、②住宅ローン減税等の制度を利用、③北九州市の耐震改修補助事業を受ける場合でまとめています。②ではさらに、A売主側が耐震補強を行って買主に引き渡す場合と売主より引き渡しを受けB買主側で耐震補強する場合があります。Aの場合は国が最初に定めた枠組みで、買い手をつきやすくし中古住宅市場を活性化させる目的からきているようです。Bの場合は工事を行う事業者が確定していないなど何らかの事情で引き渡し後の着手となる場合のためのものです。Aと違って、予めお金をかけて用意されたものを購入するのとは異なり、住まい手ご自身にあった仕様にリノベートできる方法でもあります。追加の書類や転居までの期間制限の条件はあるものの、間取りを変えたい或いはサッシや断熱をよくして省エネ性を高めたい、段差を無くしてバリアフリーにしたい等の付加価値・性能向上を耐震補強といっしょに行う一体的な工事に対応できるメリットがあるように思います。

    今回は、売買契約上の理由と「耐震性を高めて安心して住めるように」との買主さんの強い願いからBの買主側で耐震補強工事で部分的な省エネやバリアフリーリフォーム(別途工事)も行って、市の補助金交付申請を行いました。手順としてまずは、既存の状態で耐震診断(精密)を行い、構造評点1.0をクリアするように合理的な耐震補強計画を立てました。

    内壁を撤去し、耐力壁の部分の柱頭や柱脚接合金物を設置したり、構造用合板にて新耐力壁を作ります。(既存内壁撤去に合わせて、省エネ工事では既存状態で全くなかった断熱材も新しく充填しています)壁を仕上げる前には、準耐力壁となる仕上げの下地にも使われる石膏ボードを床から天井まで所定のビス仕様で上貼りします。この時点で耐震補強工事が完了です。工事途中では市の担当課による中間検査そして補助事業の申請の手続きも補助事業のフローに合わせて行いました。

    今回は、既存の構造評点が低かったため補強のための工事範囲が広く、また内壁や1階床、天井の撤去復旧費用も耐震補強工事の対象になることもありトータル金額はそれなりの額になりましが、補助は上限の金額に達し、耐震診断や計画、申請の経費を含めても半分以上を補助金で賄えることができました。

    住宅の新築や改修に適用される融資や補助等の支援制度は多岐に渡り複雑なところがあります。ご自分の要望や状況に当てはまる支援があるかどうかのところも見据えて新築や改修、中古住宅改修のご検討をおすすめします。