法51条許可申請について
先月終了しました建築基準法第51条許可申請について、備忘録として記したいと思います。
これは、一般の建築物ではなく工作物、今回は「破砕機」という産業廃棄物の中間処理施設の機械を設置するに当たって、その敷地での設置許可をうけるというものです。都市計画において対象施設位置が決定しているものであれば、新築または増築はできますが、そうでない今回のような場合は特定行政庁の都市計画審議会で許可を受けなければなりません(法51条ただし書き許可)。工作物というと擁壁や塀等を想像しますが、条件によっては処理施設の機械も工作物扱いになり、この許可が必要になるというものです。関連する法文は「建築基準法」と「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)を横断するため、まずは法的骨格を理解するため関連法文を整理してみます。
建築基準法
法51条(卸売場等の用途に供する特殊建築物にの位置)
↓
令130条の2の2 (位置の制限を受ける処理施設)二号
↓
廃棄物処理法
令7条第一号〜十三号の二 位置の制限を受ける処理施設
↓
許可を要する処理施設に該当するか否かをチェック ※今回は八の二 木くず又はがれき類の破砕施設 処理能力5t/日を超えるため該当
並行して、確認申請の扱いはどうなのかを見てみます。
建築基準法
法88条(工作物への準用)2項
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令138条(工作物の指定)3項五号
↓
令130条の2の2 (位置の制限を受ける処理施設)二号
↓
廃棄物処理法
令7条第一号〜十三号の二 位置の制限を受ける処理施設
↓
確認申請を要する工作物に該当するか否かをチェック ※今回は八の二 木くず又はがれき類の破砕施設 処理能力5t/日を超えるため該当
両方向から紐解いていくと、いずれも同じ 令130条の2の2(位置の制限を受ける処理施設)にたどり着くため、51条許可が必要なものは、確認申請も必要であることが分かります。手続き上は許可が優先されますので、許可を受けた後、確認申請という順番になります。
51条許可申請は、福岡県の場合は以下のようなフローです。窓口の県土整備事務所や関係部局(今回は5者:市町村都市計画課・消防署・警察署・港務所・保健所)との協議を何度か行い、資料を揃えてはチェックバックを繰り返し、事前打合せ会のための資料を県土整備事務所へ提出します。この事前の事前のような提出までが長い道のりでした。提出後は、特に指摘がない限り申請から都市計画審議会までレールに乗る感じで進む予定でした。

今回はレアケースだと思いますが、実は、県土整備事務所へ提出後、県庁の建築指導課からの質疑対応中に許可が不要であることが判明しました。今回の破砕機は一次から二次破砕機という一連の既存処理施設のうちの移動式一次破砕機を可搬式破砕機への更新だった訳ですが、その既存施設の一部を更新ということが大きく関係していました。
・既存施設はH13年の廃棄物処理法改正従前から使用しており、みなし設置許可である(改正前は設置許可不要→既存不適格の扱いと見なせる)当時は位置を制限する処理施設ではなく、法が改正されて不適になったという経緯
・当時の航空写真にて現況と配置や形状に変わり無いことが証明できる
・一次破砕機を更新しても二次破砕機の能力にしばられるので、総合的な能力の変動はない
また、確認申請のことは、詳しい説明は省きますが、法12条の5 施工状況報告という形で終わりました。
一般の法51条許可申請から確認申請の流れについて一つの資料があるので紹介します(福岡県の確認申請の手引きの中からの抜粋)。破砕機の新規設置や既存更新にあたって、建築基準法のみでなく、廃棄物処理法上の処理施設設置許可も並行して進める必要があります。今回は行政書士さんの守備範囲でしたが、図に示す通り紛争予防条例(環境アセス〜住民説明会)を経て「産業廃棄物処理施設設置許可」と「法51条許可」が揃ってから処理施設の設置(確認申請)ができるというフローです。処理施設を扱う上で手続きの順番やスケジュールに影響しますので注意が必要です。
