長野へ(1)茅野市民館
長野県にある名建築を巡る旅です。はじめは「茅野市民館」(設計・監理:ナスカ・茅野市設計事務所協会設計監理共同企業体)。
新建築2005.11巻頭論文や「建築家っておもしろい」(著者:古谷誠章)を読んで、駅と市民館をつなげてしまうというプログラムが特徴的で計画の強さを感じていた建築です。紙面だけでは感じられない、肌感覚で建築を体験してきました。
晩秋の夕方、制服姿の何人もの女子高生たちが、冷たい風を除けてみんな寒そうに通路上で電車を待っている。列車の到着を知らせるアナウンスがあって、みんなプラットフォームに降りていった。その瞬間に、僕はぴんと来た。この通路と新しい市民館をそのまま繋げちゃえばいい!
「建築家っておもしろい」(著者:古谷誠章)より
駅の上空通路の突き当たり左から市民館へ入ると長いスロープ状の図書館に繋がります。もう一つ奥にはエレベータがあり、上の見晴し台や下のイベントスペースに移動できます。
スロープに並行して、北九州市立図書館と同じ様なカスケード状の閲覧スペースが展開していきます。なだらかな勾配のスロープなので上り下りは全く苦になりませんでした。

両面がガラス張りなので非常に開放的で、外からは人の様子が伺えます。夜景はもっと目を見張るような存在感になるのかなと想像します。



駅のホームからの存在もはっきりしていて、市民館へのアクセスも容易で、市民館に入ってからもスロープに身を委ねるような流れで目的とするマルチホールや市民ギャラリー、コンサートホール、レストランにスムーズにたどりつけます。そこには視覚的な或いは動作的な障害はなく、広場を囲むループする動線に諸機能が配置された明快な平面計画。やはり、駅と繋がるスロープ状の図書館がこの市民館の動脈のような大きな役割を担っているように思います。
さあ、次は安曇野ちひろ美術館へ向かいます。