長野へ(2)安曇野ちひろ美術館
「安曇野ちひろ美術館」(設計・監理:内藤廣建築設計事務所)
茅野駅から松本経由で信濃松川駅まで電車で移動し、周辺の環境を直接肌で感じた方がいいかなと思って、信濃松川駅からは歩いて行きます。車窓からは北アルプスの雄大さを目にし、駅からは田植えが終わった田園地帯の中、水路を勢いよく流れる水音を耳にしました。雄大な山並みに囲まれて澄みきった空気や水が流れるのどかな場所です。

安曇野ちひろ公園内のスロープからアクセスします。山並みと屋根のかたちがシンクロしています。




内部は勾配屋根なりの天井とそれをしっかり支えるコンクリートの躯体で構成されています。強さの中に木のやさしさが漂っています。ヴォールト屋根ではないですが、ルイスカーンのキンベル美術館のような構造体を規則的に連続させた構成で、躯体のコア部分はおそらく設備的な装置が内蔵されているのかなと想像します。屋根を架けた大きな空間と躯体で囲まれたコア部分が機能的に整理されているように感じます。
そして、おおらかな屋根空間は、登り梁が連続したシンプルな架構ではありますが、居場所によって周囲の環境との接し方が豊富で非常に居心地の良い空間です。





低い(2,100mm程度)庇は、内部にまで入り込んでいて内部と外部が混じり合う様に意図されたものかなと思います。さらに、この高さが絶妙な気がして、こどもの目線や椅子に座ってちょうどいい感じの重心の低い落ち着いた場所でした。

内装の木や木製建具、左官仕上げ、家具は、表現は難しいですが、足並みを合わせたようにいい感じに歳をとっている。これだけがキラキラして新しいというものは見当たりません。(構造的なものも含めて、建築家の堀部さんが表現されている「持久力のある」、「賞味期限の長い」建築とういうものだろうか)


記憶に残すことや設計の擬似体験と思ってスケッチしてみました。
次は、長野市内に移動して長野県立美術館や東山魁夷館、善光寺周辺を散策します。