前面道路から腰くらいに高かった敷地は、バイクや車の入庫、アプローチ部分をつくる上で、土を削り搬出するという切土を必要としていました。その切土は、造成工事費をおさえるために必要最小限にとどめ、残った既存地盤の上に一段上がった床をつくるという本敷地に似合った合理的な案を導きだしました。室内の床は敷地の段差にしたがいスキップフロアとなり、それぞれの階の部屋からは上下の斜め方向に視線が交わります。リビングは上から見下ろすようにバイクのインナーガレージとつながり、ご主人愛用のバイクはあたかもショウルームに置いてあるような様子で全形を眺めることができます。
家全体は片流れ屋根でおおい、天井は屋根にあわせ室内全体を包みこむ勾配天井です。1階と中2階はガラス、中2階と2階は突出しの障子で間仕切り、ハイサイドからの光や風がゆきわたり家族の気配もやわらかくつなぎとめてくれます。

  • 所在地:福岡県北九州市
  • 用途:専用住宅
  • 階数:地上2階
  • 構造:木造
  • 撮影:Omori Kyoko
  • 備考:九州の建築家とつくる家(建築ジャーナル)・ガレージのある家28+ガレージのある家 Best100 Vol.4(ネコ・パブリッシング)掲載

UHNインナーガレージ付住宅の記録


造成工事を最小限にして個性的な住宅に
「前面道路から小高かった土地をどうするか」これが計画の方向性を示す大きな判断となりました。

土地と建物の関係(ダイヤグラム)

造成工事にかけるコストを抑えるために、バイクや車の寄り付き、人のアプローチのため、前面道路側から土地を必要最小限に削ることにしました。そして、そこに必要な住宅の空間ボリュームを置きます。そうすると、手前は低い床で奥は土地の段差分だけ高い床ができます。

空間構成を示す断面図

断面でみると、一番低い床にバイクのインナーガレージや玄関、少し上がって(スキップして)居間や食堂のLDKと和室、さらに上がって2階の寝室や個室となる構成です。それぞれは、半階程度ずれた格好でつながります。生活の中心の場所となる居間・食堂・台所を基点にほかの居場所までが程よい距離感です。平坦な敷地ではまた違ったことになっていたと想像しますが、この立地条件から導いたそれぞれの気配が感じれるご家族の願いにそった特殊解になったのではないかと思います。

基本設計時の模型(西面=前面道路)
基本設計時の模型(南西西面)