稲わら畳
ある施設の案件で、検討中の稲わら畳の細かい仕様や価格、メンテナンスの事などを調べるために近くの畳屋さんを訪ねてきました。畳と言ってもいろんな畳があります。畳は表面の主にイグサの畳表と芯の部分の畳床で出来ています。
住宅の設計では、畳表が和紙でできているメーカー品をよく採用していますが、今回は、畳表はイグサ、畳床は稲わらの本畳仕様です。実は、これまでに本畳を使う機会がなく、これを機に本畳のについて探ることにしました。調べると、国土交通省の建築工事標準仕様書(設計する上での教科書的なもの)にはその仕様を指定するためには、かなり細かいこところまで決めなければなりませんでした。これが、どちらを選択していいものか、これは畳を扱っている人に聞かないと分からないということで、畳屋さんを訪ねることにしたのです。
・畳表のイグサは日本農林規格(JAS)で定める特等から3等までのうちどれか
・そのイグサを編む縦糸は麻がよいのか綿なのか
・畳床は、稲わらなのか化学床(スタイロフォーム)なのか
・稲わらであれば、JIS規格で特級品から3級品までのどれか
(化学床でも稲わらをサンドウィッチパターンなどで7種類ほど)
・縁有りか無しか
・縁は無地か紋縁なのか、その紋は規格なのか特注なのか
・それぞれの場合の価格はどの程度なのか
奥が深く、かなりマニアックな話ですが、これを決めないと設計できません。畳屋さんには困った質問もあったかもしれませんが、おかげで一つの仕様を確認できました。
意外だったのは、コストの関係もあって稲わらの本畳はほとんどでないのかと想いましたが、稲わらの畳にこだわっている人がいるとのことでした。稲わらの畳のよさはなんなのか、私自身、あまり経験というか記憶がありませんが、稲わらの畳は座った時に、体に馴染みやすく弾力性があるということです。ただ、残念ながら稲わら畳の使用は、畳を上げて乾燥させるなどの手入れやコストの影響からか使う人はが少なくなっているのが現状。もし、本物の畳を使う習慣が続いていれば、正座をしても足がしびれにくく、日本の座の文化も引き継がれていくのかなーと考えてしまいました。
これも「便利なものに変ると失うものもある」の一つの例なのかな、、、