新山口駅で見たこと
2022年の日本建築学会賞(作品)を長野県立美術館で受賞された宮崎浩/プランアソシエイツが設計した新山口駅南北通路・北口駅前広場「0番線」を見学しました。もちろん設計的な見どころはたくさんある訳なんですが、特に印象にのこったことがありました。
それがこのシーン。お父さんの帰りを待っているのか、電車がくるのを眺めているのか、ちょっと休んでいるだけなのか分からないけど、親子がベンチで佇む姿。この何気ないことが、なにかほんわかしてたまらなくいい。
設計するってこんな場面(こと)をつくりだすことなんだなと改めて心の中で噛み締めた瞬間でした。
鉄道や山並みが見えるように置かれたベンチ/そのベンチの位置は柱や植栽に囲まれた溜まれる最適な場所/向こうが見える透明なガラスの手摺/その手摺の天端エッジは立っても視界を邪魔しない高さ/小さい子どもが立って手すりに寄っても邪魔にならず安心できるステンレス巾木の立ち上がり高さ、、、と、巧みな設計。
駅とまちをつなぐ「0番線(ホーム)」というこの駅前整備の考え方が、駅とまちにとどまらず、人と駅や人とまち、人と人などさまざまなことをつなぐように隅々まで行き渡っているように感じます。実際、ベンチの位置や向き一つとっても随所に周辺景色が望めるように配置され、人それぞれの状態によって選ばれるような多様な居場所が散りばめられていました。