インナーガレージが宝箱へ(3)

    約3m×5.5mのコンクリートの箱の中に入り込んだ浴室と畳の和室。浴室は普通の状態からと、車椅子から移乗して座った状態で使える仕様です。段差があって普通のバリアフリーではないですが、お母様の使い勝手を優先したカスタマイズされたバリアフリーというべきでしょうか。それから、ご近所付き合いも多いご両親の生活スタイルを考えて、和室は外から直接出入りできます。引き戸を開けると縁側みたいに腰掛けてのんびり話もできるし、キッチンもあるからちょっとしたおもてなしもできます。一つの建物の中にありますが、ちょっとした離れの雰囲気。

    無駄なく機能や想いを詰め込みました。かなり濃密な空間。

    Yさんのご要望で掃き出し窓には内障子、収納棚の前も障子です。理由は、障子だとその奥に空間があるように感じられるから。(空間と空間をやわらかくつなぐために使われる障子。広がりの期待感をもつ障子の特性が発揮されます)

    浴室は立位と座位の2通りの状態で使うことができます。もちろん、両方とも無理なく浴槽につかることができます。

    正面は木製の外部建具。2枚を引き込んで、開口の2/3が開放できます。既存の電動式シャッターは防犯や防風雨のため残すことにして、リモコンボタンを押すとシャッターが自動で開いて車ではなく、離れの和室(宝箱)が出現といった具合です。

    ご両親への思いがつまった箱になりました。

    (設計はほぼ終わりました)