NHN現場 設計検査と完了検査

    NHN 中津の病院の増築工事。計画から4年余り、外構工事を残していよいよ工事が完了します。工事は1期から3期に渡り、既存の機能を使いながら更新させるという病院や工事会社にも負担のかかる難しいプロジュエクトでした。

    基本計画時の全体計画

    計画上の重要なポイントは建物の配置計画でした。既存建物の動線から上へ(東側)伸ばすか、横(南)へ伸ばすか、両案のメリットデメリットの比較を元に協議し、横へ伸ばす計画案を採用。既存の庭園を既存部分と増築部分の逆L型で囲み、既存庭をリハビリ庭園へとリニューアルさせ積極的に外部環境を療養環境に取り込むことにしたのです。

    この配置計画の後ろ盾になったことは、一つは工事のローリングで、既存厨房棟を残しながら2期増築を行い、厨房を2期増築1階に移転させ、その後既存厨房棟を解体し3期増築により2期とエキスパンションジョイント無しで一体化させ、完成後は工期の違いを感じさせない状態に仕上げられるという設計が可能であったこと。そしてもう一つは、横(南)に伸ばすことで西日を浴びてしまいますが、庭園を望む適度な視界を保ちながらルーバーを全面的に装備させることでその西日を遮る方法を見出したことでした。

    増築棟の西面の外観・新設したスロープ付デッキ

    既存新館の1階の改造した掃き出し窓と新設したスロープ付デッキ

    既存の新館1階はリハビリ室。こちらも改修工事で腰窓を床からの掃き出し窓に改造し、かつスロープ付きのデッキを新設しました。積極的に外に出て外の日を浴び、風を感じ、光景を望み、五感を刺激し、身体のみならず心的なリハビリをも行うことができます。

    設計には、建物の骨格になるレベルからから各室の細部にいたるまで多段階的なプランニングがありますが、既存病院のもつ潜在的な環境を引き出し療養環境を向上させるという点では、本プロジェクトにおける増築方向の配置計画が大きなウエイトをしめていることを実感しました。